「正」「負」「強化」「罰」が分かる記事


心理学初学者のみなさん、こんにちは!

すけっちです。

学習心理学の「オペラント条件付け」における

  • 正の強化
  • 負の強化
  • 正の罰
  • 負の罰

この辺、区別が難しいですよね。

そこで! 私すけっちは明朗な解説にトライします!

先に整理

まずは下の表をご覧ください。

表に整理するとこんな感じになります。

行の違いが「正か負か」を、

列の違いが、「強化か罰か」を表していますね。

何故、このような関係であると言えるのでしょうか。

解説

まず、オペラント条件付けには「3項随伴性」と呼ばれる性質があります。

これは、「①弁別刺激ー②反応ー③結果」の3つが常にセットになっている、ということです。

もう少し簡単に言えば、「①きっかけー②行動ー③結果」といった具合です。

あなたの普段の行動も、よく考えてみれば

このように成り立っているのではないでしょうか。

そして、この「③結果」のフィードバックが「②行動」の頻度を変化させるんです。

行動の後に嬉しいことが起きればその行動は増えるし、

反対に、嫌なことが起きればその行動は減ります。

この手続きを、「オペラント条件付け」というワケです。

これを前提にして、説明を続けていきます。

ちなみに、この仕組みは「古典的条件付け」のそれとは、似て非なるものです。
古典的条件付けとの違いについては、こちらの記事をご覧ください。
「古典的条件付け」と「オペラント条件付け」の違いをわかりやすく説明する記事。

正・負について

まず、表に書いてある「好子」「嫌子」とは何でしょう。

好子」とは、③結果にて出現すると

その行動の将来の生起頻度を上げる出来事(刺激)のことです。

※例:曲芸をしたイヌにあげるエサ ⇒ 芸を覚える

つまり、起こったら嬉しいことですね。

翻って「嫌子」とは、③結果にて出現すると

その行動の生起頻度を下げる出来事(刺激)のことです

※例:親に叱られること ⇒ いたずらが減る

つまりは、起こったら嫌なことです。

以上を踏まえて、では、

」と「」は何をもって分けられているんでしょう。

これは、

好子の(or嫌子の)〜

  • 出現によって行動の頻度が変わる場合→
  • 消失によって行動の頻度が変わる場合→

という風に分けられているんです。

したがって、表の1行目は「出現」を表す「」の行、

2行目は「消失」を表す「」の行、となります。

強化・罰について

正負が分かったら、次は強化と罰についてです。

強化」とは、③結果により、行動(反応)の頻度が増加することです。

一方「」とは、③結果により、行動(反応)の頻度が減少することです。

お手伝いしたら褒められたから、もっとお手伝いするようになった。

これは「強化」であり、

いたずらしたら怒られたから、その後いたずらをしなくなった。

これは「」です。

なので、表の1列目は「強化」の列。

2列目は「」の列、となります。

具体例

具体例で考えてみます。

以下のような設定で考えてみてください。

こんなグラウンドで…

あなたは体育教師です。学校のグラウンドで授業をしています。

ケンくんは体育の授業中に気になった事があったので、

先生が話している途中にも関わらず、急に質問してしまいました。

ケンくんは前からこういったことが多く、

あなたは手を焼いています。

その時の、先生である「あなた」の対応と

行動頻度の増減によって、

  • 正の強化
  • 負の強化
  • 正の罰
  • 負の罰

整理してみたいと思います。

①あなたはケンくんを叱った→急な質問が増加したら…

この場合、あなたの注意が「好子の出現」(先生の注意を集められた! 等)

となり、ケンくんの行動は正の強化を受けた、と言えます。

(ケンくんの好奇心を褒めた結果、急な質問が増えたとしても、それは正の強化と言えます。)

②あなたはケンくんを叱った→急な質問が減少したら…

この場合、あなたの注意が「嫌子の出現」(先生に怒られて悲しい。等)

となり、ケンくんの行動は正の罰を受けた、と言えます。

③あなたはケンくんをグランドの端に立たせた→急な質問が増加したら…

この場合、あなたの対応が「嫌子の消失」(運動せずに済んでラッキー! 等)

となり、ケンくんの行動は負の強化を受けた、と言えます。

④あなたはケンくんをグランドの端に立たせた→急な質問が減少したら…

この場合、あなたの対応が「好子の消失」(大好きな体育に出られなくて残念。 等)

となり、ケンくんの行動は負の罰を受けた、と言えます。

まとめ

まとめです。

ここで、冒頭の表をもう一度掲載します。

また、3項随伴性に合わせたフローもご覧ください。

今まで見てきたように、

  • or ⇒ 好子(嫌子)の出現or消失
  • 強化or ⇒ 行動頻度の増加or減少

を表しています。

以上、いかがでしたでしょうか。

何かご指摘あれば、コメントにてお願いいたします。


参考文献:

中島定彦・実森正子(2000)学習の心理―行動のメカニズムを探る (コンパクト新心理学ライブラリ) サイエンス社