【ネタバレ】吃音当事者が『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』を観てみた。


(2018年8月14日投稿)

ふと思い立って、

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

を見てきました。

吃音のある女子高生が主人公なので、僕も吃音当事者として

感情移入できるかなと思ったのです。

結論から言えば、とってもいい映画でした!!

今回は、その感想を率直に述べたいと思います!

※以下、ネタバレ注意です。

自己紹介のくだりがリアルすぎる


高校入学一発目の自己紹介で志乃ちゃんがどもってしまう場面です。

端の席から順番に、一人ずつ席を立って自己紹介していくんですが、

志乃ちゃん目線のカメラアングルで、

席を立つ人が段々と自分に近づいてくる恐怖

めちゃめちゃリアルに描いていました。

僕はもうこの時点で見事に泣きそうになってしまいました。

だって過去の記憶がフラッシュバックするから。。

その後、志乃ちゃんは「おおしま/しの」のア行が言いづらいから、

「しの/おおしま」と名前と苗字をさかさまに言って、クラスメイトに大笑いされてしまいます。

マジで気持ちがわかって胸が苦しかったです。

やっぱり、人前でどもりたくないから、「言い換え」はついやってしまいますよね

でも、どうしてもちょっとだけ不自然な表現になってしまうので、いつも悩みの種です。

劇中の志乃ちゃんも、

「ありがとう」 ⇒ 「サンキューね」

に言い換えていたり、(ア行⇒サ行という意味では、自己紹介の時と同じ)

その辺のチョイスが本当にリアル

吃音監修の方の努力や、監督の取材の努力が見えてとても見ごたえがありました

担任の先生の励ましは不快

自己紹介のあと、志乃ちゃんが担任の女の先生に励まされる場面がありまして、

緊張しちゃうのかなー? 落ち着いて! 大丈夫だって!

みたいな励まし方だったんですけども、

それが本当にイヤで、怒りすらこみ上げてきました。。

分かってるんです、先生に悪気がないことは。

しかし、だからこそ残酷に感じてしまいました。

志乃ちゃんは、十数年、どもりを何とかしたいと思い続けて、

それでもどうしようもなくて途方に暮れているというのに、、

先生の

ちょっとの勇気で学校生活変わるよ!

みたいな、

軽々しい言い方はいただけないですね。。

ちょっとで変わったらこんなに悩んでないわ!!

って突っぱねてしまいそうで、自分のことじゃないのに、ワナワナと怒ってしまいました。笑

見事に演出にやられましたね。(勝手に)

でも、志乃ちゃんは(僕より)素直だから、

その言葉の通りに勇気を出すんです。それもまたいいんです!

ラストは圧巻

急にラストシーンに飛びますが、

志乃ちゃんが最後に泣きながらどもりながら吐露した感情が、

とて生々しかったのがよかったです。

あそこで、

かよちゃん、ごめんね。歌上手だったよ。

みたいな優しい言葉じゃなくて、

これ(吃音)さえなければ!! あーもう!!(くわしくは忘れた)

みたいなリアルでわがままな心境を吐露してくれたからこそ、

普段想いを溜めがちな志乃ちゃんには意味があるんじゃないかと思いました。

内気だからどもるのか、どもるから内気なのか

今回の映画で一番考えてしまったのはこれです。

内気だからどもるのか、どもるから内気なのか

コロンブスの卵っぽいお話ですが、

これに関しては、確実に、

どもるから内気になってしまう。

が正しいと思います。

つまり、どもっている人は元の元の元を正せば、

内気とは限らない

訳です。

ただ、仕方のないことですが、

どもっている人を見たら、普通の人は

ははーん、恥ずかしがり屋だからどもってるんだな。そんなに緊張しなくてもいいのに♪

と思ってしまうものなんだと思います。

当たり前ですよね。僕だって、吃音がなかったらそんな風に考えて、前述の先生みたいに接してしまうと思います

※緊張したらどもり易くなるのは確かなんですよね。これもまたイヤなところです。

しかし、この認識のズレこそが吃音理解の問題の根源のような気がしてしょうがないんです。

話すことに恐怖を感じているように見えるその人は、

実は、本来、話したくて仕方がない人なのかもしれません。

でも、吃音のある人は、自分の本来のパーソナリティすら、

表現するのが困難(なケースもある)わけですよね。

そして、どうしてもどもるところを人に見られたくなくて、

いつしか本当に人と話すのが怖くなってしまうという。。

悪循環です。

この悪循環を断ち切るのは、雲をつかむほど難しいと思います。

とにかく、吃音は本来器質的な不具合であることが

もっと当然に知られるようになったらいいと思います。



まとめ

映画を観て感想を述べました。

ネットで見てみても、当事者非当事者に関わらず、

高評価が多いです!

映画を観た今、高評価が多いことにはとても納得できます。

とてもいい映画だったので、みなさんもぜひご覧になってはいかがでしょうか!!!

原作も読んでみたいですね!

すけっちでした。