「速算術」とは、文字通り
計算を速く処理する方法
のことです。
ネットで検索するとたくさん出てきますね。
しかし、使用できる場面が限定的な物が多くて、
子供に応用を強いるのは難しいと思います。
そこで、かつて中学受験の模試で全国一位を取ったメンサ会員であり、現役塾講師の僕が(超絶手前味噌)
- 負荷が少なく
- 効果が高い
おススメ速算術を紹介したいと思います。
目次
①割り算は全て分数で。
割り算は全て、分数として計算しましょう。
つまり、
$$252\div18$$
じゃなくて
$$\frac{252}{18}$$
と表記して計算しましょう。 ということです。
仕組みは、
$$252\div18=252\times\frac{1}{18}=\frac{252}{18}$$
ということで説明できます。
この方略はなかなか強力で、次の効果が期待できます。
約分が使える!
約分できれば、かなりの筆算を省けます。
こうすると、「÷18」という面倒な計算が、「÷2」や「÷3」といった簡単な計算でできることが分かると思います。
計算量が減るので、答えまでの近道ができ、当然計算ミスも減ります。
他のかけ算と一気に計算ができる!
これは、よくある「大問1」の計算問題で特に威力を発揮します。
例えば、
$$\frac{3}{7}\times35\div18$$
という部分があったとします。
$$\frac{3}{7}\times35$$
を先に計算して、その後
$$\div18$$
をするより、
$$\frac{3}{7}\times\frac{35}{18}$$
としてしまった方が圧倒的に計算が楽で速くなりますよね。 (下図参照)
この「割り算=分数」という考え方は、
大人は当然だと思っているのですが、
子供にはすっと理解できるものではありません。
6年生の受験生ですら、必要ないケースで割り算の筆算をしてるケースをよく見かけるので、
是非、教えてあげてください。
②×11は、一瞬で。
実は、「×11」という計算は一瞬でできます。
下の画像をご覧ください。
これは筆算をするよりも圧倒的に近道です。
仕組みは筆算を考えてみると、よくわかります。
十の位に着目してください。
しかも、中学受験ではこの「×11」はとても重要なんです。
これが分かると、11の倍数を見分けられる!!
例えば、
「341を素因数分解しなさい」
という問題が出たとき。
3でも割れないし、5でも割れないし…
ってなりますよね。
でも、今回の「×11」の仕組みを知っていれば、、
十の位の「4」が、両脇の「3」と「1」の和になっていると気付けるので、
$$341=11\times31$$
と瞬時に出すことができます。
「11」という大きな素数の倍数を瞬時に見分けられるのは強いです。
同時に、割り算にも使えます。
$$583\div11$$
という問題は、筆算を使わずに、
$$583\div11=53$$
と瞬時にたどり着けます。
※もちろん、分数の約分にも使えますね。
これ、とても便利なので使ってみてください!
時計の追い越しの問題にも便利!
限定的ですが、「×11」のコツを知っていると強いのが、「時計の針の追い越し」の問題です。
「4時から5時までの間で、時計の短針と長針がぴったりと重なるのは何時何分でしょう?」
という問題。「角速度」を使うやつですね。
図のように解きます。
世界で使われている時計が今の仕様である限り、
必ず、「÷11」という計算をすることになるのです。
ここでも「×11」の仕組みを知っていれば、
$$240\div11=21あまり9$$
という計算がラクになるので、
$$\frac{240}{11}=21\frac{9}{11}$$
と、比較的早く帯分数に直すことができるのです。 (上図参照)
このように「×11」のコツは意外と汎用性があります。
是非、教えてあげてください!
③「×5」は、「×10÷2」に。
「÷2」ができれば、「×5」もすぐにできる、というお話です。
例えば、
$$46\div2$$
は、「4」も「6」も偶数ですから、筆算なしでも
$$46\div2=23$$
と答えを出せると思います。
ですが、
$$46\times5$$
という計算になると筆算を使う子が多いです。
これは、
$$46\times5=46\times10\div2=230$$
と言うふうに解くと、負担が少ないですね。
この仕組みは、
掛け算九九でも、実感できます。
「×10÷2」ですから、半分に「0」を書き足した数になっています。
このように、「×5」を抽出すると、その関係が分かりやすいですね。
是非、使ってみてください!
ミスが減る上に計算が速くなって一石二鳥
以上、計算テクニックを紹介しました。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。
文中、何度か「近道」という言葉を使いました。
例えば、慣れない車の運転をしていたとします。
ここで、最も事故が起こらない方法はなんでしょうか。
もちろん気を張ることは大切ですが、
最善策は近道を見つけることです。
もし近道を見つけられたら、もちろんその道を行った方が
事故を起こす確率は減る上に、早く着くので一石二鳥です。
逆に言えば、計算の方略を使わないことは、
わざわざ遠回りをしている、とも言えると思います。
それでが当然、計算は遅いし、ミスは起こります。
上記で紹介した「近道」は
比較的走りやすい道かと思いますので、
是非とも活用していただきたいです。
以上です。
ありがとうございました。