「古典的条件付け」と「オペラント条件付け」
この二つの条件付けを比較するときに、痒いところに手が届かないのは、
同じ行動を起こす例があまりないから、という部分もあると思います。
では、同じ行動を制御しようとするとき、
古典的条件付けとオペラント条件付けとでは、
どのようにアプローチが異なるのでしょうか。
これを解説に用いている参考書はあまりないように思いますので、以下ご覧ください!
お題は「犬の唾液の分泌量を増やせ」

あー、唾液出したい。
- 古典的条件付け
- オペラント条件付け
双方で、犬の唾液の分泌を制御してみたいと思います。
古典的条件付けでは
古典的条件付けでは
有名なのパブロフの実験になります。
エサ(US)とメトロノームの音(CS)の対提示を経て、
メトロノームの音を聞くだけで、唾液が分泌されるようになります。
オペラント条件付けでは
オペラント条件付けでは、
結果によるフィードバックによって、唾液の分泌が強化されることになります。
ミラーとカーモナの実験によれば、
喉が渇いた犬がある一定量以上の唾液を分泌したときに限って水を与えたところ、
唾液の分泌量が増加したとのことです。
これは、水を強化子とするオペラント条件付けであると説明できます。
※ちなみに、強化子の出現によって行動が強化されているので、
このケースは正の強化と言えます。「正の強化って何?」って方はこちら。
両者を比較する
古典的条件付けとオペラント条件付け、
二つのアプローチを比較すると下の図のようになります。
古典的条件付けでは、
対提示によって、メトロノームもトリガーに加わることで、
唾液の分泌に影響を与えます。
「メトロノームの音」という刺激が、新たに唾液を出すきっかけとなったということです。
一方、オペラント条件付けでは、
「水」という強化子による結果のフィードバックによって、
唾液の分泌に影響を与えています。
しかし、水を出したからといって、それをきっかけに唾液を出すわけではありません。
水はトリガーとして新たに加わったわけではなく、
もともとあった
「のどが渇く」⇒「唾液を出す」という反応が強化されたにすぎません。
古典的条件付けでいう「メトロノームの音」のような、
新たなトリガーが加わることはないんです。
まとめと補足
いかがだったでしょうか。
上の例では、実は
オペラント条件付けで、随意運動の反応を制御するという例外的なものを引用しています。
基本的には、
- 古典的条件付け→不随意運動
- オペラント条件付け→随意運動
にそれぞれ影響を与えやすいことで知られているんです。
(今回示したように、本当はそればかりではありませんが)
しかし、少しでも分かりやすくするため、
同じ反応で両者を比較するために、
こうした処置をしました。
正攻法で説明している記事はこちら
ご指摘あれば、いただけたら嬉しいです!
では!
参考文献:
中島定彦・実森正子(2000)学習の心理―行動のメカニズムを探る (コンパクト新心理学ライブラリ)サイエンス社