お疲れ様です。すけっち(@sketch_4 )です。
この記事では、パーソナリティ心理学の教科書によく書いてある
“類型論“と”特性論“
について、分かりやすく解説したいと思います!
類型論とは
類型論は英語で”type theory“です。
つまり、多くの人間をいくつかのブロックに分ける理論です。
ですので、類型論の考え方では、すべての人類は何らかのタイプに分類されることになります。

類型論の論点
学者たちは類型論に沿った説を提案するとき、
「類型は何個で、それぞれどんな類型なのか」 に頭をひねってきたわけです。
下記に、有名な類型論の説を挙げてみました。
各学者ごとに、「こう分けるべき」って意見は異なっていたんですね。
類型論の問題点
類型論は、直感的でわかりやすいのが利点です。大体どの教科書にもそう書いてあります。
反対に問題点は、
- 中間の人が分類されない
- ステレオタイプにつながる
- その分類になるエビデンスがない(弱い)
といったところです。
最初の例の「優しい人」「怒りっぽい人」「おもしろい人」の類型で言い換えれば、
- 「優しくて面白い人」を分類できない
- 「あいつはどうせ『怒りっぽい』から」と決めつけてしまう
- 「なんで『すぐ泣く人』っていう類型がないの」に反論しきれない
といった感じになります。
「分類できない」という問題について、個人的には
「類型論って”MECEじゃないな”」って思います。
現在は…
実は現在では類型論の研究はほとんど行われていません。類型論は1900年代に流行しましたが、1950年代には衰退してしまっているといいます。
各類型論を支持するデータが乏しく、ほぼ、理論として価値がなくなっているのが現状だということです。
特性論とは
特性論は英語で”trait theory“です。
“trait”は日本語で「特性、特色、特徴」を指します。
特性論では、各「trait」が集まったものが性格であるとします。
「レーダーチャート」をイメージしてください。

ここでの「やさしさ」「真面目さ」といった単位が「特性(trait)」に当たります。
人によって各特性の値は違っており、その値の違いこそが一人ひとりの性格の個人差を作り出している、というのが特性論の考え方です。

特性論の論点
学者が特性論の説を提唱する際は、「特性は何個あって、それぞれ何なの!?」ということに頭をひねります。
色んな学者が説を作り、それをもとにさまざまな性格検査ができています。
下記ご参照ください。
特性の数や、その中身が異なっているのが分かると思います。

特性論の利点
特性論の利点はなんといっても
“パーソナリティの差を量的に記述できること“
ですね。
あえて難しい言葉で書いてみました。どういうことかというと、
例えば、「おもしろさ」の値が「5」の人と「4」の人がいたら、「5」の人の方が面白いが、「4」の人もつまらなくはない、という具合に数字の大小で表現できる(記述できる)、ということです。
つまりは、これで個人差を表現できるのです。こんなことは、類型論ではできません。
よく心理学の教科書に書いてある「連続的に記述可能」「量の差異として表現できる」といった言葉も、このことを示しています。
ビッグ・ファイブ
特性論の中にもいろいろあり、長年研究が進められていましたが、だんだんと「過不足なく性格を記述できる特性」が明らかになってきました。それらは5因子であるため、「ビッグ・ファイブ」と呼ばれています。

この5因子は文化を超えて抽出されるそうで、
ビッグ・ファイブ理論は、今のところ特性論の最先端といえます。
まとめ
類型論と特性論について、一枚の絵にまとめると下のようになります。

パーソナリティ研究に大きな影響を与えた学者であるオールポートは
類型が「あてはめる」ものであれば、特性は「もつ」ものである
と言ったそうで、とても分かりやすくまとめてくれていると思います。
以上、すけっちでした。
参考文献:
榎本博明・安藤寿康・堀毛一也(2009) パーソナリティ心理学―人間科学、自然科学、社会科学のクロスロード,有斐閣アルマ
加藤孝義(2001) パーソナリティ心理学―自分を知る・他者を知る ,新曜社
村上宣寛(2011) 性格のパワー,日経BP社
↑かゆいところに手が届く良書でした! オススメです!!