円高円安は何故分かりにくいのか。


突然ですが、1ドル120円から100円になると円安でしょうか、円高でしょうか。

正解は円高です。

「あれっ?」と思いました?

120円から100円に安くなってるのになんで円高なんだろうって。

ここ、わかりづらいですよね。

社会の先生も口酸っぱくして教えてるはずですが、分からないまま大人になってる方も多いのではないでしょうか。

今回は、「なぜそれが分かりにくいのか」そして、「分かりやすくするにはどうすればいいのか」を解説したいと思います!

日本での様子

例えば「1ドル120円だったのが、1ドル100円に変わった」時。

これは、

1ドル札の値段が120円から100円になった」

と考えてください。


日本の金券ショップのショーウィンドウに1ドル札があって、その値札に値段が書かれている様子を想像してください。その値段が120円から100円に変わった、ということです。

つまり円ではなく「1ドル札」が安くなったので、円安ではなく「ドル安(円高)」なのです。
100円に値下がりしたからと言って「円安」ではないんですね。

円高(ドル安)になったときの日本の様子(想像)

アメリカの様子

この反対に円高や円安を考える時は、1円が何ドルかを考えなきゃいけません。
それを表したのが下の表です。

「1ドルあたりの円」を「1円あたりのドル」に変換

1ドルの値段が変わると、それに伴って1円の値段も変わるのが分かります。

ですが、ちょっと小数点が多すぎてわかりにくいですね。


そこで1万円の値段に換算してみましょう。

さっきの反対で、アメリカで1万円札がお店に並んでいることを想像してください。
そこに値札が付いています。

「10,000円は何ドルか」を追加しました。

1ドル120円の時の1万円札は約83ドルでした。しかし1ドル100円になったら、1万円札は100ドルに値上がりしてしまいました。

そうすると、アメリカの人はこう言うでしょう。
「最近1万円札は高くなったなぁ」
つまり円が高くなったのです。これが円高(ドル安)です。

円高(ドル安)になったときのアメリカの様子(想像)

なぜ分かりにくいのか。

  • ドル高かドル安かを考える時⇒「1ドルは何円か」
  • 円高か円安かを考える時⇒「1円は何ドルか」

といったように分けて考えればわかりやすい気もしますが、相場表示は円高円安を考える時でも「1ドルは何円か」を表示しています。

つまり1万円札が安くなったのか高くなったのかを知りたいのに、1ドル紙幣についている値札の値段をいつも表示しているのです。

これが、円高円安が分かりにくい原因です。

円とドルの価値はいつも反対に動く

ドル安と円高は同時に起こる(逆も然り)

ここまで述べてきた例では、「1ドル100円から1ドル120円に変わった」という点では同じはずなのに、日本では得を、アメリカでは損を、というように正反対の結果になりました。

このように、一つの値動きが、両国で反対の効果をもたらしていることになります。

1ドルあたりの値段が安くなれば1円あたりの値段は高くなります。このようにこの二つの指標は逆の動きをするので、一つの指標だけを使っていると分かりにくくなります。

これまで、

  • ドル安(円高)
  • 円高(ドル安)

とか、併記していたのは、このようなことが言えるからです。

結局慣れるのが大事だと思います

ただ、かといって「ドルと円の関係」っていうひとつのものを考える指標が二つもあるのもややこしいですよね。

だから、慣れている人にとっては、「1ドル何円か」をずっと表示していてくれた方が分かりやすいんです。

結論を言えば慣れるまでは分かりにくいですが慣れてしまえばこっちの方が分かりやすいです。

以上、すけっちでした!